【20代・30代にマンモグラフィ検診をお勧めしない理由】
マンモグラフィ検診にもメリットとデメリットがあります。
・メリットは乳癌を早期発見できること、
・デメリットは放射線被曝や偽陽性などが挙げられます
マンモグラフィにおける乳腺の濃度は若年ほど高くなり、乳腺が分厚い雲の様に写るため、病変が見つけにくくなって検出力(感度)が下がります。50代以降は感度も十分高く、検診として成り立つのですが、40代になると感度が下がり、検診としての有用性が落ちてくるので、日本では超音波検診を併用することが検討されています。20代・30代については、この年代を対象とした研究がなく、はっきりしたデータはありませんが、メリットは40代よりもさらに低いと推測されます。
デメリットとしては、まず被曝リスクがあります。これはマンモグラフィ撮影で浴びた放射線によって将来乳癌を発症するリスク、もしくはそれが原因で死亡するリスクです。以前計算してみたところ、このリスクは極めて低く、40歳女性のマンモグラフィ1回あたりの死亡リスクは、だいたい50万分の1とかそれくらいの確率でした。身近な確率で言えば、乗ってる飛行機が落ちる確率よりまだ低いくらいでしょうか、ネットによれば、400年間毎日乗り続けると1回落ちるくらいだそうです(400年×365日=146000)。日頃、飛行機に乗るとき、そこまで深く考えて乗ることはありませんが、マンモグラフィを撮るのも全くそれと同じ感覚でよいということです。
ただ、被曝の影響は、同じ線量でも若年ほど高くなり、高齢ほど低くなるという特性がありますので、若年では被曝リスクを数倍高く見積もる必要があります。といっても国内線に乗るか国際線に乗るか程度の違いでしかありませんが、それでも検診というのは健常人を対象に行うものなので、リスクを無視する訳にはいきません。若年者でも十分なメリットがあればいいのですが、メリットが減ってデメリットが増加する訳ですから、若年者のマンモグラフィはお勧めしないのです。
一方、診療(精密検査)のときは、見落とすことなく診断することが必要ですから、リスクにこだわらずにマンモグラフィを撮影します。正しく診断するメリットが被曝リスクを上回ると考えるからです。
【20代・30代の検診は?】
20代・30代に検診は必要かという話ですが、乳癌全体が増加する中で、30代、特に30代後半の罹感率は増加しています。若年の乳癌は進行が早いということもありますので、早期発見のためにも検診はあった方がいいと思います。ただ20代・30代を対象にした研究はなく、お勧めの根拠となるエビデンスはないのですが、行うとすれば超音波検診になります。

超音波検査は乳腺濃度に関わらず一定の検出力がありますし、(ただし感度は80%に届きません)放射線の被曝もありませんので、民間の検診施設ではすで普通に行われております。ただし有用性やメリット・デメリットのバランスなどはいずれ検証を行なっていく必要があると思います。