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乳癌術後のPET-CT検査について

定期的なPET-CTはしないのですか? という質問は結構多いです。今日はその話を少しだけ。

問題点を整理
・遠隔転移を早く見つけることの臨床的意義
・過大評価されているPET-CT
・PET-CTの正しい保険適応
・PET-CTの妥当なポジション

遠隔転移を少しでも早く見つけたいという心理は、患者さまも私たちも同じです。しかし考え方には少し相違があります。

遠隔転移を早く見つけたといっても、それは癌細胞が全身に回ったことを意味するので『早期発見』とは言えないのです。ですから多くの場合は手術ではなく薬で抑える方針となります。(注1)

でも諦めるわけではありません。最近では治療薬が進歩して一旦病変が消失することもありますし、その中から治癒する人もきっと出てくるはずです。それに症状が出てから治療するより、症状が出る前から治療する方が、治療中のQOLもよいはずです。私たちは、そういう思いで遠隔転移の発見に努めています。

昔は、「遠隔転移は治らないから、早く見つけても結果は同じ」みたいな考えもありました。さらに日本乳癌学会のガイドラインは、遠隔転移を発見するための検査にはちょっと否定的な立場でした。

当時のガイドラインには、『わが国では「念のために」という考えのもと過剰な検査がなされてきた感が否めない・・』という文言があり、視触診とマンモグラフィ以外のほとんどの検査は「推奨しない(グレードC)」になっていました。

じゃあ、遠隔転移はどうやって発見するの?
症状が出て初めて、検査や治療を始めるの?

と反論したくなるような内容でしたが、最近はガイドラインの立場も少しずつ変わっています。病期Ⅳの予後が改善していることが大きいと思います。

さて、PET-CTの話に戻ります、PET-CTは高額であること、検出力はCTより優れていますが、万能ではなく、むしろ、各種がんの早期発見には不向きであり、ある程度大きくなった病変でないと発見できないことも知っておくべきです。

万能であるかのうように思われているのは、検診ビジネスの広告の影響だと思います。広告には全身を一度に調べることができると書いてますが、各種がん検診の一つ一つと比べて精度が高いとは書いていません。保健所や医師会など公的な検診を扱う機関においてPET-CTは検診手段としては見られていません。

そもそも医療現場における、PET-CTの保険適応は、『悪性腫瘍の診断はついているが(注2)、ほかの画像診断(CTやMRI)で病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合』もしくは『悪性リンパ腫の治療効果判定』に限られます。ですから、PET-CTに先行してCTなどを取っておく必要があるのです。高額な検査だけにこのような縛りがあり、それ以外は自費診療になってしまいます。

そうするとPET-CTだけをルーティンに行い、そこに保険を使うというのは無理があります。3年毎に撮っている施設もあるそうですが、本当に保険が使えているのか疑問です。それに3年毎だとちょっと間があいてて、PET-CTのアドバンテージが薄れてしまう気もします。CTの検出力も侮れませんから。

ということで、総合的に、PET-CTの妥当なポジションは、腫瘍マーカーなどで定期検査を行い、異常があればCT、CTでは診断できない場合にPET-CTというのが、一般的というか、妥当な流れになると思います。

注1、肺病変は乳癌の肺転移か肺癌か、鑑別するために手術をすることがあります
注2、悪性腫瘍と言っても、早期胃癌、多発性骨髄腫、白血病は対象外です。

林田 博人

皆さまの 安心と信頼につながる医療を提供していきたい。

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