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乳癌の再発について

再発の話は診察室で多い話題の一つですが、正確に理解できている人は意外と少ない印象です。今日は再発についてのお話しをします。

まず、再発は大きく二つに分かれます。
①局所再発と②遠隔転移です。

再発
①局所再発
  =乳房や腋窩リンパ節の再発
②遠隔転移
  =肺、骨、肝や、遠くのリンパ節への再発

さてここで「①を再発というのはわかるのだけど②は再発なの?」と考え込む人がでてきます。

多分、これと似たような誤解で、乳癌が肺に転移すると肺癌になると思っている人が多いのですが、そうではありません。乳癌は肺に転移しても乳癌、肝臓に転移しても乳癌、骨に転移しても乳癌であって、それぞれ、乳癌の肺転移、肝転移、骨転移(こつてんい)と呼びます。

分かりやすく例えると、たんぽぽの綿毛が、風に吹かれて飛んでゆき、少し離れたチューリップの畑に落ちて、そこで花が咲いても、咲くのはたんぽぽであり、それをチューリップとは呼びません。それと同じことです。

乳癌は、乳腺から発生した癌であり、その細胞は乳腺細胞の特徴も残しています。その細胞が血液で運ばれて、別の臓器で大きくなっても、その細胞は乳腺由来の特徴を残しており、肺癌にはなりえません。肺癌は肺組織から発生した癌のことで、肺組織の特徴を残しており、乳癌とは違うものなのです。

で、話を元に戻します。

①局所再発(乳房や腋窩リンパ節の再発)は、治る再発であって、命に関わることはほとんどありません。早期に発見すれば、手術で取り除くことができ、大事に至らずにすみます。ただし発見が遅れてそれなりに大きくなってしまえば、そこから遠隔転移を起こす火種になり、命のリスクも出てきます。定期的な診察や検査、日頃のセルフチェックが必要なのはこのためです。

②遠隔転移は①に比べるとより深刻です。癌は遠隔転移を起こすと多くは治すのが難しくなります。ステージは転移した段階でⅣ期に変わります。治療の内容としては、薬で進行を抑え、長期に亘って病気と付き合っていく方針となります。ここのお話しはいずれ別稿で、少しずつお話ししていきたいと思いますが、乳癌治療の重要なことは、いかに遠隔転移を起こさせないかということにつきます。

そのために初期治療は手術だけでなくいろいろな治療が加わるのですが、でも一番大事なことは最初の乳癌を早期で発見することです。早期に発見できれば遠隔転移のリスク自体が減りますし、手術も軽く済みます。薬物療法も軽い治療で済むケースが多く、身体的な負担や経済的な負担も少なくなります。そう考えると乳癌検診はとても重要です。みなさん乳癌検診をしっかり受けましょう。

補足
1、腋窩リンパ節再発は、転移ではありますが、遠隔転移ではありません。手術で取れば多くは治りますが、乳房再発よりは少しリスクが高いです。

2、鎖骨下リンパ節、鎖骨上リンパ節、内胸リンパ節の再発はいずれも局所再発ですが、基本的に手術はしません。薬物療法と放射線治療で消失を図ります。腋窩リンパ節転移よりもさらにリスクは高く、消えたあとも厳重に経過観察します。

3、反対側の乳房には滅多に転移しません!
反対側の乳房は再発というより、新しい別の乳癌になるリスクがあります。一般女性が初回乳癌にかかる割合より少し高いのでフォローは必要ですが、片方やれば必発ということではありませんので、必要以上に心配しないでください。

林田 博人

皆さまの 安心と信頼につながる医療を提供していきたい。

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